埼友草加病院は埼友会・医山会グループの中心です。2016年2月に大澤勲先生が埼友草加病院の病院長に就任された経緯とプロフィールを教えてください。
ご紹介頂いた通り、私は新築移転リニューアルを機に、2016年2月に病院長に就任しました。
私自身、大学生活は長く、1989年に日本大学医学部を卒業後、第2内科に入局し、関連病院で勤務を経たのち、2005年順天堂大学腎臓内科教室に移り、その後は准教授として、腎臓内科を中心とした臨床・研究活動とともに、学部生、大学院生、研修医など、若手の育成を行って参りました。
一方、慢性糸球体腎炎やネフローゼといった腎臓内科領域の疾患はもちろんですが、専門である補体学を切り口に、指定難病「遺伝性血管性浮腫(HAE)」の治療を行う中で、研究・啓発活動に携わるようになりました。順天堂医院に続いて、埼友草加病院に赴任して間もなく、全国で2番目となる「HAE専門外来」を当院に開設することができました。
埼友草加病院はどのような医療機関ですか?
あらゆる腎臓病に対する治療を始め専門医療を提供することを目指した病院です。我々の強みは、迅速に臨床検査を行い、そのデータから多彩な腎臓病の診断・治療を網羅し、専門的な医療を提供できることです。また埼玉県草加市を拠点として約40年、我々は地域ともに歩んで参りましたので、地域医療は重要なテーマです。
今後どのような医療を目指していくのでしょうか?
現在、草加市では腎臓病に対応できる病院は非常に限られています。よって、腎臓病の予防、早期発見、早期治療を行い、透析導入者を減らすことが重要課題であり、今後の我々の課題です。
次に末期腎不全治療や透析治療について教えてください。
残念ながら、末期腎不全に移行してしまった場合には、バスキュラーアクセス造設と血液透析導入、安全な透析の提供、その後の合併症管理に至るまで、包括的にカバーできる専門病院を目指しています。例えばですが、看護部を中心に下肢切断を避ける予防的フットケア、「末梢動脈疾患(PAD)」を主とする足病変の総合的治療を行っています。これらは非常勤の形成外科医もサポートしてくれています。これらは今まですでに取り組んできたことですが、より充実したものになるように検討しています。
- 当院前身の「埼友草加クリニック」外観
- 現在の透析室
もう少し透析室の様子を教えてください。
病院リニューアル後、透析ベッドは100床となり、午前・午後・夜間の時間差透析を行うことで、患者様の生活時間に合わせてご利用いただける体制を整えています。年齢層は、10代から就労世代、90代以上に至るまで、幅広い患者様に対応しています。看護部や臨床工学部がそれぞれ、患者様に対してチームで対応するような体制を構築している最中です。また、血液の老廃物をより多く除去できる「オンラインHDF(血液濾過透析)」にも対応しています。
チームで腎臓病患者様を支えようということですね。
その通りです。とても重要です。
話は変りますが、患者様はどのような検査を受けられるのでしょうか?
最新の医療検査機器を備え、各種検査から治療まで迅速に行う事ができます。新築移転を機にMRI2台(3.0テスラ、1.5テスラ)を設置し、アンギオ、CT、X線、生理機能検査、検体検査についても、最新の自動分析装置を導入しております。
バスキュラーアクセスセンターも新たに設置されましたが、どのような役割ですか?
そうです。2016年2月からは「バスキュラーアクセスセンター」が開設されました。これにより、透析患者様のアクセストラブルに対する血栓除去、血管形成術(PTA)、アクセスの再造設に迅速に対応できる体制が整いました。血管外科の佐伯直純医師は、埼友草加病院のみならず、埼友会・医山会グループの患者様の多くを対応してくれています。
末期の腎臓病は様々な合併症が生じやすいと聞いておりますが、そのような場合、様々な専門家が関わることになりますね?
腎機能が低下すると、様々な病気を合併しやすく、脳卒中など重篤な病気の引き金にもなりかねません。現場では、常勤の腎臓専門医が、各診療科の医師、看護師、リハビリテーションスタッフ、管理栄養士、地域連携相談と連携を図り、まさにチーム医療で患者様を支えています。一般の方は「大規模な総合病院であれば、こんなことはできているに違いない」と思われるかもしれませんが、そう簡単ではありません。逆に我々のような規模の病院の方が小回りが利き、実現しやすいのだと思います。
埼友草加病院の外来では、長年、脳神経外科にも力を入れています。
そうですね。現在の会長である後藤善和先生の業績は大きいと思いますが、当院の脳神経外科は、早くから腎臓病患者様の脳卒中の診断・治療にも取り組んで来ました。これも非常に稀な施設であると自負しております。脳神経外科以外の診療科の先生方も、腎臓病患者の治療に協力をしてくれていますし、各種の医療検査機器も設置しております。
生活習慣病については如何でしょうか?
今後は、腎臓病にも、また先ほどのお話の脳卒中にも関連のある生活習慣病の予防にも取り組んで参ります。
糖尿病センターや管理栄養部はもちろんのこと、リハビリテーション部の方々も運動療法に興味を持って勉強していますし、グループをあげて生活習慣病対策に取り組むプロジェクトも進行しております。すぐに結果がでるものではないので、お示しできませんが、長期的に、本当に粘り強く取り組めば、変化は必ず訪れるはずです。
- リハビリテーション室
腎臓病や生活習慣病に介入し、高血圧、糖尿病、脂質異常が何とか悪くならないで済む、さらには腎機能が維持される、幸いにも腎機能が回復するという患者様の姿をみれば、私たちも嬉しいですね。
それらの体験がスタッフ自身のモチベーションになって、みんなで専門知識や技術を高めれば良いのだと思います。そうするとで、多くの患者様を笑顔にできるのだと信じております。
PROFILE │ 埼友草加病院 院長 大澤 勲
専門領域
内科学、腎臓病学、補体学、遺伝性血管性浮腫
学歴及び職歴
- 1989年03月日本大学医学部卒業
- 1989年06月日本大学医学部附属板橋病院 総合臨床研修医
- 1991年06月日本大学医学部第二内科学講座 入局
- 1991年12月神奈川厚生農業協同組合連合 相模原協同病院 内科医員
- 1996年04月国立療養所 西甲府病院 内科医長
- 1999年03月日本大学にて医学博士学位取得
- 2003年01月春日部嬉泉病院 内科医長
- 2005年04月順天堂大学医学部 腎臓内科 入局
- 2005年10月順天堂大学医学部 腎臓内科 臨床講師
- 2007年04月順天堂医院 腎・高血圧内科 病棟医長
- 2008年04月順天堂大学医学部 腎臓内科 准教授
- 2012年04月順天堂医院 腎・高血圧内科 外来医長
- 2015年04月埼友会 埼友草加病院 副院長
- 2016年02月埼友会 埼友草加病院 院長
資格・学会活動等
- 日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医
- 日本腎臓学会認定専門医、日本腎臓学会学術評議員、日本腎臓学会指導医
- 日本透析医学会専門医、日本透析医学会指導医
- 日本成人病(生活習慣病)学会評議員、日本成人病(生活習慣病)認定管理指導医
- 日本補体学会 理事
表彰
- 第44回日本成人病(生活習慣病)学会 優秀演題会長賞(2010年1月)
- 第49回補体シンポジウム 優秀賞(2012年8月)
- 第7回日本病院総合診療医学会学術総会 優秀演題賞(2013年8月)
- 第45回日本臨床分子形態学会 論文賞(2013年9月)
- 欧州・アレルギー・臨床免疫学会(EAACI 2015)Abstract賞(2015年6月)
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